一人暮らしを始めたとき、保険のことは完全に後回しだった。家賃、光熱費、食費――目の前のお金のことで頭がいっぱいで、「保険どうしよう」なんて考える余裕がなかった。
私は結局、一人暮らしの保険を県民共済だけにした。月2,000円。手取り20万円の一人暮らしで、自分なりに調べて出した答えがそれだった。
一人暮らしを始めて保険のことが急に怖くなった

実家にいたころ、保険のことを自分で考えたことなんてなかった。親が何かしら入ってくれてたんだと思うけど、中身も知らなかった。
一人暮らしを始めて3ヶ月くらい経ったころ、友達に「保険入ってる?」と聞かれて「え、入ってない」と答えた。そのときの「え、やばくない?」の顔が忘れられない。
帰ってからスマホで「一人暮らし 保険」って検索してみたけど、出てくるのはFPが書いた解説記事ばかりで、「医療保険」「就業不能保険」「終身保険」って種類がたくさん並んでて、余計わからなくなった。
「とりあえず保険ショップに相談しよう」とも思ったけど、正直めんどくさかった。休みの日にわざわざ出かけて、知らない人に家計の話をするのがハードルが高い。
そのまままた2ヶ月くらい放置した。
県民共済だけでいいのか、正直迷った

重い腰を上げてもう一度調べたとき、最初に気になったのは県民共済だった。月2,000円で入院もケガもカバーできるらしい。安いし、シンプルでわかりやすい。
ただ、調べれば調べるほど不安も出てきた。
県民共済は85歳で保障が終わる。60歳を過ぎると保障額もだいぶ減る。「若いうちはいいけど歳をとったら足りない」と書いてある記事がたくさんあった。
「それって怖いのでは」と一瞬思ったけど、冷静に考えたら私はまだ20代半ば。85歳まで60年もある。
60歳になったときの自分の状況なんて今からわかるわけがない。そのとき必要な保険に入り直せばいい。
それより、今の自分にとって大事なのは「入院したらいくらかかるか」だった。
ここで初めて高額療養費制度の存在を知った。ざっくり言うと、医療費が高くなっても月の自己負担に上限があるという仕組み。私の年収だと、上限は月57,600円(2026年4月時点の数字)。
つまり、どんなに医療費がかかっても、自分が1ヶ月で払うのは6万円くらいで済む。
「月6万くらいなら……」と一瞬ホッとしたけど、問題は入院中の生活費。仕事を休んだら収入が減る。差額ベッド代や食事代は高額療養費の対象外。実際の出費は6万円じゃ済まないかもしれない。
貯金がたっぷりあるなら「保険なしでも高額療養費で何とかなる」と割り切れたかもしれない。でも、一人暮らしを始めたばかりで手元のお金に余裕がない時期に、保険ゼロで入院するのはさすがに怖かった。
貯金が少ないうちは、月々の出費をできるだけ抑えながら備える方法が必要だった。

「何もない状態」は嫌だ。でも月5,000円も10,000円も払うのはきつい。県民共済なら月の掛金が2,000円。ギリギリじゃなくて余裕をもって払える金額だった。
月2,000円で「安心を置ける」と思えた理由

県民共済だけにしようと決めたのは、自分の状況を整理してみたら「今の私に必要な保障」がはっきりしたからだった。
まず、死亡保障。20代の独身で、経済的に支えている家族がいない。万が一のことがあっても、誰かの生活費が困るわけじゃない。だから高額な死亡保障は必要なかった。
必要だったのは「入院したときにちょっとでもお金が出る」という安心感のほう。
県民共済の総合保障2型は、月2,000円で入院・ケガ・死亡がセットになっている。病気で入院したら1日4,500円、事故なら1日5,000円。手術の保障もある。
民間の医療保険だと月3,000〜5,000円くらいするものが多かったし、プランの選び方がよくわからなかった。県民共済は「総合保障2型」を選ぶだけ。選択肢が少ないことが、私にはちょうどよかった。
口座振替で毎月2,000円が引き落とされるだけ。カード払いができないのはちょっと不便だったけど、逆に「口座にさえ入ってればいい」と思えば手間はほぼゼロ。
申し込みもネットでできた。スマホで公式サイトを開いて、健康に関する質問に答えて、銀行口座を登録して終わり。10分くらいだったと思う。
それから1年が経って、8月に割戻金の通知が届いた。ざっくり言うと、1年分の掛金のうち余ったお金が返ってくる仕組み。
私の場合は数千円が口座に振り込まれた。月2,000円×12ヶ月=年間24,000円のうち数千円が戻ってくるから、実質の負担はもっと少ない。
地味にうれしかった。
固定費の中の「月2,000円の保険」

私の固定費は、家賃61,000円、光熱水道7,500円、通信費3,278円、サブスク2,300円、そして保険2,000円。
保険は固定費の中で一番安い。通信費より安い。でも「安いから意味がない」とは思わない。
保険は「何もなかったとき、払い損だったと思う出費」じゃなくて、「何もなくてよかったと思える出費」だと思ってる。私はこれを安心代と呼んでいる。
固定費の中で「削るか残すか」を迷ったとき、判断基準はいつも同じ。それがなくなったら不安かどうか。
通信費は仕事にも連絡にも必要だから残した。サブスクは2つまで減らしたけど、ゼロにしたら暇になって余計にお金を使った。
保険も同じ。なくなったら「入院したらどうしよう」が頭の隅にずっと残る。月2,000円でその不安がなくなるなら、削る理由がなかった。

もちろん、県民共済だけで一生安心かと言われたら、それはわからない。結婚したら、子どもができたら、そのとき必要な保障は変わる。
でも今の私には、月2,000円の県民共済で十分だった。完璧な保障じゃなくていい。「今の自分に合ったもの」を選べたことが、ちょっと安心だった。

※この記事に書いている高額療養費制度の自己負担上限は、2026年4月時点の数字です。制度は今後変わる可能性があるので、最新の情報は加入している健康保険の窓口で確認してください。
※県民共済の保障内容は都道府県によって異なる場合があります。詳しくは各都道府県の県民共済の公式サイトで確認してください。



25歳・事務職2年目。
手取り20万円、貯金60万円からの一人暮らし。
「我慢する節約」じゃなくて安心して暮らせる仕組みをつくりたい🍅